2016年2月13日土曜日

【かばん修理】彫金・ロウ付けによるさがり金具本体の修理

かばんの金具の破損による、修理のご依頼をよく頂きます。
同じような金具を仕入れることができれば、比較的簡単に修理ができる場合が多いですが、純正品に代わるものを見つけるのが困難な場合もあります。

今回ご紹介するケースでも、ぴったりくる金具を仕入れることができませんでした。
お断りしてそのままお返ししようかとも思いましたが、素材がメッキ加工されていない真鍮(しんちゅう)であったこと、構造的にシンプルなものであったことなどから、「ロウ付け」で使えるように直せるかもしれない、と思い修理をやってみることにしました。

修理の依頼内容はこんな感じです。
「かばんのかぶせ(ふた)についている留め具が壊れてしまって、開閉が思うようにできない」
ふむふむ、どんな風に壊れているのでしょうか。使い込んだ品物との出会いです。不安もありますが、わくわくする瞬間でもあります。


写真ではすでに取り外してしまっていますが、かばん本体側にはこんなパーツ。
横長の穴に、かばんかぶせについた「さがり」と呼ばれる金具がカッチリはまるわけです。
下のブタさんの鼻の穴のような二連の穴から、カチリとはまった「さがり」を外すためのレバーがついていたと思われますが、影も形もありません。いやー、ぶっ壊れていますね! 金具が壊れるほどに使い込まれたならば、かばんもかばん職人も本望でしょう。
ふたを閉めることができても、ドライバーか千枚通しでも持ち歩かない限り開けることはできなくなっています。千枚通しなんか携行していたらお巡りさんに職務質問されたときに地味に困りますし、第一ディ○ニーランドに入ることもできません。どういう理由が考えられるでしょうか。千枚通しで○ック船長に闘いを挑むおつもりでしょうか? リーチの短さはハンデですか? 強気ですね。嫌いじゃないです。

話がやや外れてしまいましたが、作業内容としては、その「さがり外しのためのレバー」を作ってしまおう、ということになります。

「さがり」部分です。

「レバー」に代わるパーツを、同じ真鍮の板からのこぎりで切り出します。
多少コツは必要ですが、ミシンを踏んだり包丁を研いだりする技術に比べれば簡単な部類に入る気がします。
うまく使えば、オリジナルの美錠や、金具アクセサリーなんかも切り出すことができます。

ある程度表面をきれいに磨いて、穴を開けるアタリをつけたら、みんな大好きドリルの時間です。

穴がふたつ開きました。
むむむ……微妙にズレている……。

といったところで、なんと次回に続きます。

こんな調子で、果たしてさがりレバーは本当に完成するのでしょうか?
前後編にするほど内容のあるコンテンツなのでしょうか?
うっかり前後編にしてしまったところで、次回いつ更新されるのでしょうか?
謎が謎を呼ぶ、次回の二天一流総本舗【かばん修理後編 〜うなれガスバーナー! 苦闘ロウ付け編〜】お楽しみに。

※今回、彫金作業、ロウ付け作業にあたり、エスペランサ靴学院様の設備を使わせて頂きました。この場をお借りし、お礼を申し上げます。

(石川)

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