納豆好きの大学生タケルは、ひょんなことから自らを納豆の精と名乗る少女、キンバリーさなえと出会い、六畳一間に同居することに。あれよあれよと言う間に謎の保険契約を締結され、月々の法外な額の保険料に頭を抱えながらも、タケルは夢を追い続ける。いつかオクラホマに農園を買い、見渡す限りの大豆畑(以下略)
というわけで、かばんの金具の修理をご依頼頂いたものの交換できそうなものが売ってないので作っちゃえばいいじゃんよというお話の後編です。
前回は金属を削り出して、研磨して穴を開けてこんな感じになったところです。
ここから「ロウ付け」と呼ばれる作業にはいります。金属同士をくっつけるための「溶接」の一種で、母材(今回は金具のことです)は溶かさず、母材よりも融点の低い金属(ロウ)を溶かして、それを接着剤代わりにして母材同士をくっつけるやり方です。より融点が低い軟ロウを使用するものに、おなじみ「はんだ付け」があります。
金属が熱で溶けるというのは、サムズアップしながら溶鉱炉に沈んでいくシュワルツネッガー氏をご想像頂ければおわかり頂けますね。観たことないですが。
こちらガスバーナー。800度から1,300度くらいの炎であなたの暮らしに役立ちます。
この薄い鉄の板、これが「ロウ」です。今回は融点が高いもの、低いものの二種類を使用しました。
何段階かに分けて母材をくっつけるので、同じロウを使うと、先に作業してせっかくくっついたところまで溶けて離れてしまいます。
作業に戻りますが、さがり金具を開けるスイッチのパーツとして、適当な太さの鉄の棒を用意しておきました。まずはこの二本を穴に通し、ロウ付けします。
こんな感じで「第三の手」で固定。ロウ付けする部分に溶剤を塗ったら、ガスバーナー先生のその熱き心の炎(物理)が腐った冷凍みかんたちの心の氷を溶かしていくのです。よくわかりませんね。
母材全体を熱し、ある程度高温になったらロウ部分を熱します。
※申し訳ありませんが、バーナーを使っているところは危険なので写真に収められませんでした。
ロウが溶けて上手くくっついたら、水で冷却します。高温なので表面の加工がこげつきます。いやな響きです。こげつき。薄めた硫酸で洗うと、先に付けた溶剤が洗浄でき、こげた部分もよりきれいになります。今日は硫酸を用意していないので、こげは後で磨いてきれいにします。
目から光線みたいな感じに見えますね。薙ぎ払え!
平たい鉄の板だったものが、溶けてこんな感じにくっついています。
冷えてしまえば、金属なのでそれなりの強度になります。
切り出したスイッチパーツもロウ付けします。
それを電動ルーターで研磨して、真鍮らしい光を取り戻します。
見てくれはプリミティヴですが、動作は問題なさそうで、とりあえず一安心です。
あとは、かばんに取り付けて完了です。
スイッチをスライドさせると、さがり金具が外せる!
かちっとはまる!
なんとか完成、納品できました。
また今回のようなことがあったとき、より美しく仕上げられるようにしたいです。
彫金技術を使ったボタンや金具など、ご用命があれば喜び勇んで挑戦させて頂きます。
是非ご相談ください。
では、本日はこれにて失礼します。
全国のタケル諸氏、明日からもがんばりましょう。
(石川)
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